[記者体験記] 「ブリジャートン家」を彷彿とさせる手紙の封印、実際にやってみたシーリングワックス
かつて手紙の封印や身元証明に使われていたシーリングワックスが、現代では手軽に楽しめる工芸として人気を集めています。記者がダイソーのキットを使って、その歴史や作り方、コツを体験しました。

Netflixの人気時代劇〈ブリジャートン家〉のように、18〜19世紀を背景にした映画やドラマを見ていると、手紙を書いた後に赤いワックスを溶かして垂らし、その上に印章をぐっと押し当てる姿をよく目にすることがある。手紙の上に鮮明に残る紋様は、作品の中の時代背景を演出する小さな小道具のように見えるが、過去においては文書を安全に伝え、発信者の身元を証明するための実用的な手段であった。
手紙や文書を封印するために使われていたこれこそが、「シーリングワックス(sealing wax)」だ。今日では本来の機能よりも、色とりどりのワックスと多様な紋様のスタンプを組み合わせて手紙やプレゼントなどを飾る工芸として、より親しまれている。かつて手紙を封印していた方法は、今や一つの工芸として残っている。記者も実際にワックスを溶かして印章を押してみた。
溶かして押し、封印した手紙の鍵
「シーリングワックス(sealing wax)」は、文字通り文書や手紙を封印するために使用されたワックス材料だ。熱で溶かして紙や羊皮紙などに垂らすと素早く固まり、固まる前に紋様が刻まれた印章で押して模様を残す方法で使用された。
単に封筒を留めるための接着剤の役割だけではなかった。一度固まったワックスは、封印を剥がすと割れたり跡が残ったりするため、内容物が開封されていないことを確認するための装置、つまり今日における「封印ステッカー」や破損防止包装に近い役割も果たした。これに個人や機関を象徴する印章の紋様を押し、発信者の身元を示したり、文書の真偽を証明したりする手段としても使われた。
特に中世ヨーロッパにおいて、印章は署名の代わりを務めるほど重要な意味を持っていた。英国国立公文書館(The National Archives)によると、当時は文字を書いたり自分の名前を署名したりできない人も多かったため、重要な契約や証書に自身の印章を残すことで、文書の内容に同意したことを示したこともあるという。
王や貴族だけでなく、宗教機関、都市、各種組織も固有の印章を使用していた。印章に所有者の肖像や紋章、象徴を入れることで、権威や身分を表すこともあった。今日における署名や職印に近い機能だったわけだ。
ここで正確に区別すると、「シーリングワックス」は溶かして使用する材料であり、「シール(seal・印章)」はその上に残された印、そしてその印を作る道具が「シール・マトリックス(seal matrix)」または印章である。持ち手の端に金属製の紋様板を付けた形状だけでなく、指輪の底に紋様を刻んだ「シグネット・リング(signet ring)」も使用された。
柔らかく温めたワックスにマトリックスを押し当てて離すと、所有者の紋様がそのまま残った。中世の大きな公式印章の中には、文書に紐や羊皮紙の切れ端を繋ぎ、そこに大きなワックス印章を吊るす方式もあった。
シーリングワックスの材料も時代によって変化した。中世には主に蜜蝋(beeswax)に松脂系の樹脂を混ぜて使用し、色素を加えて赤色や他の色を出したりもした。ヨーロッパとアジアの交易が活発になった後は、天然樹脂であるシェラック(shellac)をはじめ、ターペンタイン、各種樹脂や充填剤、顔料などを配合した、より硬いシーリングワックスが登場した。
16世紀以降にこのような形態が拡大し、赤色をはじめ、黒・緑・青・金など多様な色の製品も作られた。したがって、歴史的なシーリングワックスをすべて単に「蜜蝋」と説明するのは正確ではない。
手紙を封じる方法も今日とは異なっていた。近代的な封筒が一般化する前は、手紙を書いた紙そのものを数回折り畳んで外側に住所を書き、折り目の部分にワックスを垂らして封印する方法が一般的であった。
スミソニアン国立郵便博物館によれば、19世紀半ばまで郵便料金は紙の枚数によって異なっていたため、別途の封筒を使用することはコストを増やすことだったと説明している。手紙を折って一枚にまとめ、シーリングワックスや接着性のあるウェハーで封印すれば、紙を節約しながら内容も隠すことができた。郵便料金が下がり、機械で作られた封筒や粘着式封筒が普及した19世紀半ば以降には、シーリングワックスの実用的な必要性は徐々に減少していった。
キャンドルで溶かし、華やかな紋様スタンプをぐっと
使用する道具は思ったよりも単純だった。基本的にはシーリングワックス、火をつけるキャンドルやランプ、印章が必要だった。棒状のワックスの先端を火で温めて溶かした後、紙の上に垂らし、ワックスが固まる前に印章を垂直に押し当てた。小さなワックスビーズを使用する場合は、金属のスプーンに入れてキャンドルの上で溶かす方法も使われる。今日、体験ワークショップなどでよく見られる「ワックスビーズ→メルトスプーン→火鉢またはティーライトキャンドル→スタンプ」の組み合わせは、この過程を安全かつ簡便なものに変えたのである。
過去には「ワックスジャック(wax jack)」という独特なデスク用道具もあった。長く細いワックステーパーを金属の台に巻き付けておき、その先端に火を灯し、その小さな炎でシーリングワックスの棒を溶かす装置だ。メトロポリタン美術館には、1675年に英国で製作された鉄製のワックスジャックが残っている。手紙を頻繁にやり取りしていた時代には、ペンやインクのように手紙を書く机の上に置かれる道具の一つであったわけだ。
今日、シーリングワックスの機能は大きく変わった。文書の真偽を証明したり手紙を安全に封印したりする役割は、署名、粘着式封筒、セキュリティ封印などに取って代わられ、シーリングワックスは結婚式の招待状・手紙・ギフトラッピング・手帳デコレーションなどに使用する工芸材料として再び定着した。
郵便過程で割れやすかった伝統的なシェラック系のワックスを補完し、柔軟に曲がる合成樹脂ベースの「フレキシブル・シーリングワックス」や、グルーガンとして使用できる製品も登場した。過去の実用品が、今では手紙やラッピングに手作りの痕跡を加える装飾的な道具となったのである。
思ったより簡単で楽しいシーリングワックスDIY
シーリングワックス工芸は、市販のDIYキットなどが充実しており、手軽に始めることができる。去る7月にもダイソーから手頃な価格のキットが発売され、人気を集めた。記者も体験してみたいと思い製品を探したが、オフライン・オンラインのダイソーともに売り切れだった。しばらく経ってから、あるオフライン店舗でようやくそのキットを手に入れることができた。
2,000ウォンという手頃な価格で、ワックスビーズを溶かすメルトスプーンとワックスビーズ、スタンプが入っている。ワックスを溶かすためのティーライトキャンドルとキャンドルホルダー、溶けたワックスを流し込むためのシリコンマットなどは個別に購入する必要がある。シリコンマットはSNSで推奨されていたシリコンコースターで代用した。すべてダイソーで購入し、総購入費用は5,000ウォンだった。
購入したキットには蝶の形のスタンプが入っている。説明書に従い、ワックスビーズ5〜6個をメルトスプーンに入れて溶かす。思ったよりも溶けるのに時間がかかり、およそ3分ほどを要した。溶けきったワックスを少し混ぜたりもした。
溶けたワックスをシリコンマットの上に流した後、表面が少し乾いたらスタンプを押し当てる。初めての試みだったのでタイミングが分からず、押し当てるのが遅くなってしまったため、すでに少し固まっており、押した時に乾いていないワックスが溢れ出して失敗した。
失敗したワックスは再び溶かして再挑戦した。3度の挑戦を経て、溶かしたワックスをシリコンマットの上に流した後、すぐにスタンプを押し当てて完成させた。蝶の形がしっかりと刻まれているのを確認できた。
成功した後は、多様な色に変えてシーリングワックスをいくつも作ってみた。封筒の上に載せると高級感があった。方法さえ分かれば簡単な工芸だ。
もう少し趣味として楽しみたいなら、多様な紋様のスタンプや多様な色のワックスビーズを購入しても良いだろう。ビーズの中には、キラキラしたパールが入ったグリッターワックスもあり、完成した姿を見ると神秘的な感じを与える。また、スプーンに残ったワックスを削り取ることができるシリコンスパチュラがあると便利だ。
一つ注意すべき点としては、キャンドルを使用するため、火傷に注意しなければならないという点だ。メルトスプーンの持ち方を間違えると、先端部分が熱くなることもある。そのため、シーリングワックスの趣味を楽しむ人々は、シーリングワックスウォーマーを別途使用することもある。同様にティーライトキャンドルを使用することもあるが、電気式の製品もあるので、好みに合わせて選択すればよいだろう。
かつては手紙や文書を安全に伝えるための実用的な道具であったシーリングワックスが、今では手で何かを作る喜びを与える趣味となった。ワックスがゆっくりと溶ける様子を見守り、好みの色を混ぜた後、印章を押し当てて完成する瞬間まで待つ過程も、思ったより楽しい。同じ色と、同じ印章を使用しても、ワックスが広がる形によって結果が少しずつ異なるという点も、魅力的な工芸である。
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