[現場スケッチ] 温かい編み物で過ぎ去った時間と記憶を再び編み上げる、ファン・ジェウォン《ゆっくりつながる:身近なものの見慣れない変身》
ウンピョン区のサビナ美術館にて、日常の事物と編み物を結びつけたファン・ジェウォンの個展「ゆっくりつながる:身近なものの見慣れない変身」が開催されている。
祖母の趣味だった編み物が、次第に若返っている。スマートフォンで満たされた一日から一時的に離れ、静かに自分自身に集中できる時間を楽しめるという点から、若い世代の間で新しい趣味として浮上した。通常はマフラー、たわし、バッグなどを作るが、この作家にとっては「温かさ」を一目、一目編み上げていく道具となる。
ファン・ジェウォン作家は編み物を現代美術の言語として捉え、速い流れの中で日々を過ごす私たちが、無意識に通り過ぎてきた時間や記憶を再び見つめ直させる。
ウンピョン区のサビナ美術館では、去る10日からファン・ジェウォン作家の個展《ゆっくりつながる:身近なものの見慣れない変身》が開かれている。今回の展示は、サビナ美術館の新進芸術家発掘および創作支援プログラムの一つであり、日常の事物と編み物を結合させてきたファン・ジェウォンの作品世界を紹介する場だ。
展示が行われている5階のサビナプラスは、美術館内の複合文化空間であり、美術館で進行するアカデミーや新進作家の実験的な展示、多様なイベントが開かれる場所だ。こぢんまりとした規模の空間に足を踏み入れると、壁や床、至る所を埋め尽くすファン・ジェウォン作家の作品たちが目を引く。
展示の全体的な雰囲気は、編み物と織物の作品で満たされた作家の家を訪れたかのような感覚だ。作家と同じ世代を生きてきた観覧客であれば、親しみやすくも温かい情(ジョン)を感じることができる。
サビナ美術館のカン・ジェヒョン学芸室長は「ファン・ジェウォン作家が温かいと感じる事物に糸を編み込んで、再び機能させるようにした」とし、「事物の本来の用途を壊す発想で作られた編み物の作品によって、見慣れた事物を見慣れないものとして見つめ直させる」と説明した。
展示室のドアではなく、作家が設定した世界のドアがある。〈And Beyond〉という名前の作品は、張り詰めた織物がドアを美しく装飾している。編み物で編まれた取っ手は、見た目は柔らかいが、実際に掴んで開ける機会があれば、開けることはできないだろう。精巧に編まれた姿には感嘆させられる。
実際には開けることはできないが、このドアの向こうには何があるのだろうかと好奇心が湧いてくる。ある人は実際に何らかの空間があるだろうと想像するかもしれないし、またある人は戻りたい思い出の時間に思いを馳せるのではないだろうか。
私たちの祖母の世代が家事をする際に広く使用したであろう棒が掛かっている。使い込まれた棒は、歳月の重みに耐えきれず折れたり摩耗したりしている。ファン・ジェウォン作家はその時間の痕跡を編み物で再び埋めた。棒は密に埋められているものもあるが、摩耗して失われた時間を示すかのように、その形だけを絡め取っているものもある。大変な家事をしながら、おしゃべりで乗り越えてきた母親たちの忍耐の時間が感じられる。
〈食べて生きること〉という作品には、日常の事物を変形させて見慣れないものにするファン・ジェウォン作家の作品哲学が込められている。多様な調理器具が本来のサイズよりも大きく作られているのはもちろん、編み物で作られているため、硬いはずの形態が柔らかく変化している。食事の準備に必要な調理器具が洗濯物干しに掛かっている姿も、見慣れないものとして迫りながらも面白い。
おそらく作家は、調理器具に込められた母親たちの日常を、ゆっくりと、緩やかに編み物で描き出すためにこのような発想を選んだのではないだろうか。既存の固定観念や認識を覆すことで、その中に込められた意味が長く記憶に残るようにする「反転装置」のようだ。洗濯物のようにだらりと吊るされた調理器具の中に、温かいご飯を一杯食べさせようとする心が感じられ、長い間視線を釘付けにする。
この作品もまた、「反転」を見せる作品の一つだ。実際に作動する扇風機に、編み物で羽根を作った。回転はするが、涼しい風を作る扇風機の本来の役割は果たせない。代わりに、回転するたびに羽根が折れ曲がる様子が笑いを誘う。
「エアコン、パワー冷房でつけて」という流行語が飛び交うほど暑かった夏が過ぎゆく時期に、編み物の扇風機は一つのウィットかもしれない。しかし、暑さを吹き飛ばしてくれた扇風機のありがたみを知らず、ただ電源を入れるだけだった私たちに、〈涼しい?〉という問いかけは、ふとした沈黙を強いる。来年の夏、扇風機を再び取り出すときには、温かく撫でてあげなければならないようだ。
温かい暖炉を編み物で誕生させた〈安らぎの輪郭〉という作品だ。韓国よりは西洋圏の文化に多い暖炉だが、レンガを幾重にも積み上げて作った暖炉の温かさは、誰もが容易に共感できるものだ。温かさが与える安定感と安らぎを、編み物で表現したかったのではないだろうか。
そのため、レンガをぎっしりと埋めるのではなく、そのシルエットだけが浮かび上がるよう(現れるように)編み上げられており、所々に隙間があるため、レンガが空中に浮いているような姿をしている。安らぎというものは明確な形態を持つものではなく、感覚や感情に近い。目に見えない安らぎをレンガの輪郭で示した作家の発想に、自然と頷かされる。
作品名の通り、曲芸士の姿を針金と糸で編み上げた作品だ。線のみで構成された軽い身体に、編み物と織りの手法で色と質感を与え、アメリカの彫刻家アレクサンダー・カルダーの線形彫刻を、作家特有の繊維的な言語で新たに解釈した。カラフルな糸と、緻密に編み込まれて針金を包み込む姿を見ると、曲芸士特有のリズムと動きがより一層生き生きと感じられる。
作家の繊細な織りの表現を見せる2つの作品は、自然の風景と古い家を展示会場に移したかのような感覚を与える。〈どこか〉は小さな窓から外の風景を眺めているような姿であり、〈そうしてそこに根づいた〉は自然の風景を家の外壁として表現したかのようだ。
特に、〈そうしてそこに根づいた〉は、作家が部屋から外を覗き見ていた風景の四季の変化を抽象的に表現したものであるという。色彩によって、春の温かい感じから夏の熱い太陽、秋の紅葉、冬の冷たさまでが伝わってくる。
ディテールな表現も印象的で、田舎の家に様々な作物を吊るして乾かすような姿を連想させるオブジェから、瓦屋根を立体感のある曲線で編み上げている。織りと編み物で作られ、長い時間を要したであろう作品は、その時間と同じようにゆっくりと変化する自然の姿により集中させる。
展示作品の中で最も可愛らしくて面白い作品だ。作品名のように、作家が実際に好きな菓子を食べながら編み物で作ったという。実際の菓子の袋を活用し、菓子の形に似せて作った精巧な姿に感嘆させられる。これらの菓子を食べた経験があれば、見るだけで菓子の味と香りが感じられるような錯覚に陥るかもしれない。
最近では見ることができないブラウン管テレビが、白色ノイズの画面だけが映った状態で設置された作品だ。最近ではこのようなテレビはいないだけでなく、放送も深夜遅くまで続くため、このような画面を見ることはできない。〈国歌さえ終わった時間〉というタイトルと作品の姿は、このような時間を生きてきた人だけが共感できるものとなる。
最近ではOTTやIPTV、YouTubeなどで望む放送を選択していつでも見ることができる。そうしてすべてが容易で便利になった世界だが、ブラウン管テレビで放送を見ていた時期は、新聞で番組表を見ながら望む放送を見るためにテレビの前に座らなければならなかった。正規放送が終わると愛国歌が流れ、信号が切れると「ジジッ」と画面が変わった。当時は馴染み深かったが、今では見慣れない風景となってしまった。
それほどまでに流れた時間を、ファン・ジェウォン作家はテレビに編み物をしてして留めた。作品説明には、硬くて冷たい物に温かい時間を着せたとしているが、このようなテレビで生活してきた人々にとっては、一時的に過去に戻ってその時代を追懐する時間となるわけだ。
3面の合板に抽象的な形態を編み上げた作品だ。一度に作品全体を鑑賞することができないため、「見たことのない全体」という名前がついたようだ。外部から見ると、不規則な形態の中に規則的に編まれた織りの形態を発見することになるが、この作品の魅力は隙間を通じて中を覗き込むことにある。
作品の中を覗き込むと、外からは見ることができなかった別の姿を見つけることになる。蔓植物が作品の中を這い上がり、自由に育っているような姿だ。「外柔内剛」という四字熟語が思い浮かぶ。外面的な姿だけを見て通り過ぎるのではなく、容易には見ることができない内面的な姿も覗いてほしいという作家のメッセージではないだろうか。作品の木製合板も、自然な木目を活かそうとするかのように削り取られた姿や、内部で作品の別の姿を見せるオブジェも、表面に現れた姿の向こう側を覗き見させようとする作家の意図を推測させる。
展示場の外に設置されているため通り過ぎてしまうこともある作品だが、デジタル時代に慣れ親しんだ私たちの姿を対照的に最もよく表した作品だ。編み物が再び流行している理由も、デジタルデトックスのためのアナログな趣味であるという点からだ。相反する2つの要素を適切に組み合わせた作家の発想に、改めて拍手を送りたくなる。
ついつい使いたくなってしまうスマートフォンの画面を様々な形に編み上げた姿から、インターネットの接続速度が遅くてローディングに時間がかかる様子まで作り上げている。文明の利器を適切に使用すれば良いが、中毒のように没頭してしまうと困る。遅さの美学である編み物のように、私たちもゆっくりと周囲を見渡しながら生きていけることを願う作家の配慮が感じられる。
ファン・ジェウォン作家の個展は、来る10月11日に終了する。サビナ美術館は毎週月曜日が定期休館であり、午前10時から午後6時まで観覧できる。
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